★ ハラスメントの分類
< ※ハラスメントは、重大な人権侵害行為です。>
主として、ハラスメントは次のように分類されています。
一般的呼称
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定義
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・パワーハラスメント
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・職権などのパワーを背景として、本来業務の適切な範囲を超えて継続的に人格や尊厳を侵害する言動を行い、働く環境を悪化させ、あるいは雇用不安を悪化させること。
(『ハラスメント対策全書』3頁より)
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・セクシュアルハラスメント
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・男女雇用機会均等法第11条第1項
事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
もう少しわかりやすく大別すると、
1)対価型
〜労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応により、労働者が解雇、降格、減給等の不利益を受けること。
2)環境型
〜労働者の意に反する性的な言動により労働者の就労環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な影響が生じる等、労働者が働く上で見過ごせない程度の支障が生じること。
の2つに分類できます。
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・モラルハラスメント
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・職場におけるモラルハラスメントとは、不当な行為(身振り、言葉、態度、行動)を繰り返し、あるいは計画的に行うことによって、ある人の尊厳を傷つけ、心身に損傷を与え、その人の雇用を危険にさらすこと。またそういったことを通じて職場全体の雰囲気を悪化させること。
(『モラルハラスメントが人も会社もダメにする』27頁より)
・言葉や態度によって巧妙に人の心を傷つける精神的な暴力であり、家庭や職場で日常的に行われる「見えない暴力」。
(『ハラスメント対策全書』178頁より)
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・アカデミックハラスメント
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・大学などの研究・教育機関において、教授などがその権力を濫用して学生や職員等に対して行う嫌がらせ。
(『職場のいじめ・パワハラと法対策』4頁より)
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・ジェンダーハラスメント
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・女性は(あるいは男性は)かくあるべきであるという価値観や、性別役割分担意識に基づく差別や嫌がらせをいう。
ex)
女性にのみお茶くみをさせる。
「結婚したら家庭を大事にすべきだ」と発言する。など。
(『セクハラ・DVの法律相談』20頁より)
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上記のうち、我が国でその定義が法的に明らかにされているものは「セクシュアルハラスメント、いわゆるセクハラ」(上表〜男女雇用機会均等法第11条第1項。ちなみに、モラルハラスメントについては、フランスで2002年1月にモラハラを規制する法律・労使関係近代化法が公布施行し、刑法にも罰則規定が設けられました。)だけですが、昨今は当該セクハラをも包含した概念としてパワーハラスメント、いわゆるパワハラ(職場のいじめ)問題が非常に大きくクローズアップされてきています。
裁判例でも
「被告(会社)の対応は、雇用契約の相手方であるXとの関係で、被告の社員が養成社員に対して被告の下請け会社に対する優越的立場を利用して養成社員に対する職場内の人権侵害が生じないように配置する義務(パワハラ防止義務)としての安全配慮義務に違反しているという他ない。この点に関し、被告には雇用契約上の債務不履行責任がある。と同時に、このような被告の対応は、不法行為責任を構成するほどの違法な行為であると言わざるを得ないから、この点ついても責任を負うべきである」
(日本土建事件 津地裁H21.2.19)
と判断されたものもあり、法律上の明文がないから責任は問われない、という考えは直ちに破棄すべきです。
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