★ パワーハラスメント対策の必要性
パワハラ問題もセクハラ同様、何をもって該当するのか? といった明確な基準など存在しません。だからこそ、パワハラに関しても事前の対策、予防が欠かせません。
(パワハラはセクハラと違い、我が国においては、現在のところそれを規制する法令は存在していません。)
下記の調査結果を見てください。
Q1.
パワハラを受けた社員は、パワハラによりメンタル面で何らかの問題を生じていますか?
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A1.
・パワハラを受けた社員のうち、かなりのものに生じていると思われる。
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8.6%
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・パワハラを受けた社員のうち、ある程度の者に生じていると思われる。
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74.2%
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・パワハラを受けた社員のうち、ほとんどの者に生じていないと思われる。
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7.5%
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・よくわからない
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7.5%
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・空欄
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2.2%
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※パワー・ハラスメントの実態に関する調査研究報告(中央労働災害防止協会 編)より
(以下、同様)
「かなり」「ある程度」を合わせると83%(アンケート対象企業数は無作為に選択した1000社。うち回答企業数209社、回収率20.9%である)もの企業で、パワハラがメンタル面に何らかの影響を与えていると回答しています。
Q2.
パワハラは企業にどんな損失をもたらすと思いますか? (複数回答可)
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A2.
・社員の心の健康を害する
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83%
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・職場風土を悪くする
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80%
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・本人のみならず、周りの士気が低下する
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70%
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・職場の生産性を低下させる
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67%
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・十分に能力を発揮できない
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59%
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回答を見る限り、社員個人の能力発揮不全にとどまらず、企業としてのパフォーマンス全体にも悪循環をもたらすことが分かります。
<Q1.2.から考察できること>
・多くの人はパワハラ(嫌がらせ)による精神的圧迫から集中力の低下等といった能力の低下が引き起こされ(メンタル面の支障)、それは業績の低下に直結します。(十分に能力を発揮できない)
・会社業績は組織の構成員である社員一人ひとりの業績が集まった結果と言えます。とすれば、個人の業績低迷は会社業績の低下に繋がります。(職場の生産性を低下させる)
・また、パワハラが発生している職場環境は良好とは言い難く、やがて組織としての活動事態が落ち込んでしまう場合もあるでしょう。(職場風土を悪くする。本人のみならず、周りの士気が低下する)
・結果、優秀な人材から流出し始める、といった悪循環に陥る可能性があります。
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Q3.
パワハラ対策は経営上重要な課題であると思いますか?
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A3.
・とても重要である。
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38.3%
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・やや重要である。
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44.0%
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・それほど重要ではない。
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8.1%
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・重要ではない。
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1.4%
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・よくわからない。
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5.3%
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・空欄
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2.9%
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「とても」「やや」を合わせると、パワハラ対策が経営上の重要課題であると認識されている企業は82.3%にも及びます。これはQ1.及びQ2.におけるメンタル面、心の健康問題と奇しくも同程度の数値が弾き出されており、パワハラ問題と社員の心に関するメンタル問題は相関関係にあるのかもしれません。
と考えれば、パワハラ対策を講じることである程度のメンタル問題等も改善させることができるかもしれません。
では、パワハラ防止についてどんな活動を実施すればいいのか? という呟きには次の質問、回答結果をご覧ください。
Q4.
パワハラ防止に向けた活動をしていますか? (複数回答可)
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A4.
・講演や研修会を実施した。
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43.5%
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・社内報などで取り上げた。
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20.0%
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・社内通達で取り上げた。
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19.1%
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・担当者が外部情報の収集を行った。
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24.3%
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・パワハラ相談も受けられる窓口を設置した。
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54.8%
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・社内の実情把握を行った。
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18.3%
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・就業規則や社員の行動基準に盛り込んだ。
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33.9%
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・その他
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7.8%
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・現在なにも行っていないが、実施を検討している。
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23.5%
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・特に行っていない。
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58.3%
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複数回答可、ということで一見すると多くの企業で何らかの対策を実施されているようにみえますが、「特に行っていない」という企業が6割近くに及んでおり、まだまだハラスメント対策の必要性・重要性は認識されている、とは言い難い状況のようです。
では次に、何らかの対策を行った企業の「効果」の部分を見てみましょう。
Q5.
パワハラ防止に向けた何らかの活動を行った結果、どんな効果がありましたか?
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A5.
・社員の認知度が高まった。
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23.0%
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・社内の雰囲気がよくなった。
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2.9%
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・仕事がやりやすくなった。
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1.4%
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・部下に対する指導がしやすくなった。
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0.5%
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・相談してくる人が多くなった。
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12.0%
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・現状ではあまり効果は感じられない。
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23.4%
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・その他
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4.3%
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結果を見る限り、目に見えて効果があった、とする企業は少数です。しかし、「相談してくる人が多くなった」という回答は、当該企業に潜在的なパワハラ問題が存在していた可能性を連想させます。
もちろん、相談事由の全てがパワハラに分類されるとは限りませんが、パワハラに対する企業姿勢を明確にし、中立的な立場で問題に対処するといったアナウンスは、可視化できないにしても将来発生し、企業の存続を揺るがしかねなかった事態を小さな芽のうちに摘み取れる効果があることは、ぜひ意識の中に刷り込んでください。
パワハラ事件が発生し、ハッキリと問題を可視化できてからの対応では、企業の存続に多大な影響を及ぼしかねない、そんな時代に突入していることをはっきりと認識した経営が望まれます。
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